しーちゃん

僕はネコ派なんだけどかみさんはトリ派で

2013年の3月のある日、かみさんが箱に文鳥のヒナを二羽抱えて帰ってきた。

桜文鳥は厳輿でげんちゃん

白文鳥程遠志でしーちゃん

 

ヒナに餌をあげるのは大変で

ふやかした餌をスポイトでぐいっと口の中に入れ込む…

これが慣れなさ過ぎてこんなことも出来ないのかと

かみさん不在のときなど泣きながらどうにかやってたっけ。

 

両方とも雄だったので

時に喧嘩しながらも基本的には二羽仲良く

うちの実家にもかみさんの実家にも愛されながら一緒に生活してきた。

 

昨年、コロナ禍だったこともあり夫婦二人して在宅が多かったので

新たに三羽の文鳥さんのヒナを家にお迎えした。

桜文鳥の厳顔でがんちゃん

白文鳥呉蘭でごらんらん

シルバー文鳥の程銀でギンコ

ギンコだけが雌だったんだけど

なんと老鳥の域に達していたしーちゃんと夏ごろにつがいになった。

 

いくつか卵を産むものの殆どが無精卵で

それでも甲斐甲斐しく交代で抱卵し

まぁ、飽きたら温めるのを止めるんだけど

いい感じの年の差カップルっぷりだった。

 

どうにか遺伝子を残してやりたいという思いもあり

先日もまた産卵していたので偽卵と取り換え

孵卵器の方で温め、行方を見守ることにした。

 

先ほどしーちゃんが永眠した

 

2~3日前から調子が悪く

またあいにくトリ慣れしているかみさんは不在で

明後日に診療の予約をしていたんだけど…

僕は何もできなかった。

 

てのひらにあったぬくもりがおもみが

つめたくかたくなっていくのに

ぼくはなくことしかできなくて

 

しーちゃん、うちに来て楽しかったかな

書ききれないほどのたくさんの思い出があるけれど

僕は本当にしあわせだった。

初めて飼育したトリさんが、げんちゃんとしーちゃんで良かった。

 

いま、孵卵器の予定日はあと6日になっている。

もしかしたらしーちゃんの二世が誕生するのかもしれない。

そうなったらどうしようもないぐらい可愛がってやるし

もちろん、今健在の四羽もめいいっぱい愛でてやる。

 

でも、ごめん、今日はあと少しだけ泣かせて。