祭りの後

1996年3月5日、
UEFAカップ準々決勝ACミランVSFCボルドーの1stLegが、
ACミランのホームスタジアム、サン・シーロで行われた。


お目当ての選手はRバッジォ
怪我から復帰しての初めての試合を、
彼は自らのフリーキックで得点を挙げ勝利をもぎ取った。


だが“強い”という印象を与えたのはFCボルドーの方だった。
共に旅に出た方は“異常な”サッカーマニアで、
“おいズラトコ、このボルドーというチームにいる7番を見ておけよ”
と試合が始まる前にワシにそう告げていた…
それがまだ日本では無名な存在だったジネディーヌ・ジダンだった。


“ズラ式サッカー批評 決勝編”として、こんな書き出しを用意していた。
格別のファンというわけではないけれど、
結果はどうあれこの物語の最大の中心人物であり、
また魅了して止まない選手の1人には違いないからだ。


いつまでも終わって欲しくない試合だった。
ずっと見ていたい…
熱くそれでいて重い試合をそんな気持ちで観ていたが、
110分が過ぎた頃には早く終わってくれとさえ思っていた。


真実が知りたいとは思う。
しかし許されざる行為であったことは事実だ。


W杯という祭典の後味は、
一時代を築いた選手のフィナーレは、
最高に悪いものだった。